本研究は母を在宅で介護する息子介護者の心理状態について介護の過程に沿って分析し,心理状態に関連する事柄を明らかにすることを目的とした.在宅で母を介護したことのある息子10人に半構造化面接を実施し,M-GTAを用いて分析した.結果,息子介護者は介護前から〈自分への介護期待を察する〉.そして母の状態変化により介護者の生活に変化が生じたとき〈介護の始まりを自覚する〉.その際,〈現状にとまどう〉が,介護が生活に組み込まれる中で〈現状を客観的に受け止める〉ことができるようになる.介護の終焉で〈母の人生の最期を熟慮する〉ことを経験し,介護終了後もなお〈介護を終えてからの両価的感情〉が残る.介護のあらゆる期間で息子介護者は〈追い込まれた心理状態〉に陥る危険性を抱えているが,一方で〈介護の積極的意味づけ〉を行う.介護過程の中で介護者が現状を客観的,肯定的に受け止められるような介入の必要性が示唆された.