2020 年 61 巻 1 号 p. 1-16
本研究の目的は,障害のある被疑者・被告人を受け入れた障害福祉サービス事業所の職員が,受入の際に感じた不安と不安軽減要因について構造的に明らかにすることである.研究方法は定性的(質的)研究法である.調査方法はインタビュー法である.分析方法は定性的(質的)コーディングである.分析の結果,職員が感じた不安は「自身の経験不足および能力に対する不安」,「障害のある被疑者・被告人の社会関係に対する不安」として明らかにされた.また不安軽減要因は「情報収集や評価による相手の理解」および「身元保証の確認および連携とバックアップ体制の確立」として明らかにされた.本研究により,これまで明らかになってこなかった,障害のある被疑者・被告人を受け入れた事業所の職員が,受入の際に感じた不安と不安軽減要因の構造を定性的データにより実証的に提示することができた.