社会福祉学
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論文
政策研究の射程とダイナミズムに関する批判的考察――分析枠組・イデオロギー批判・対案をめぐって――
伊藤 文人
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2020 年 61 巻 3 号 p. 28-39

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抄録

小論の目的は,二木立から故高島進へ提起された政策研究の分析枠組(analytical framework)に関する批判に応答することである.小論では,二木の政策研究の有効性を検証するため両者の政策研究の方法論的特質をその射程とダイナミズム―分析枠組・イデオロギー批判・対案―に焦点を当てつつ批判的に再検討した.高島は社会福祉の全体性=歴史(理論)を踏まえた,中長期的展望に価値を見いだすコミュニストとしての政策研究を行い,二木は政策の前提条件を原則的に問わない,短期的な実用主義に価値を見いだすプラグマティストとしての政策研究を実施したといえる.新自由主義の席巻する文脈で今日の社会福祉政策を捉えるには,二木の研究上の貢献を尊重しつつ,高島の政策研究への再評価が必要になるだろう.

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© 2020 一般社団法人 日本社会福祉学会
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