2023 年 63 巻 4 号 p. 1-14
本研究は,児童福祉法成立時にすべての乳児又は幼児(以下,子ども)を対象とした保育所規定が,第5次改正で「保育に欠ける」子どもに対象を制限する規定となった経緯を検討した.そこで被占領期に,GHQの指令(SCAPIN775)による公の支配に属するものに民間社会事業(以下,民間)を取り込んで社会福祉制度を構築したことに着眼し,法の立案から成立後の第5次改正までの過程を分析した.その結果,公の支配と保育所規定を連動させ,民間が公の支配に属すると憲法解釈された時に,保育所規定に保護者支援に関する字句を挿入し,「保育に欠ける」字句の挿入に至り,保育所保育の対象制限の規定となったことが明らかになった.公の支配に保育所規定を連動させた理由を考察したところ,民間を公の支配に属するものとして保育所保育を安定的に供給し,保護者の負担を軽減し労働力の回復を支える制度として,保育所を戦後の経済再建の一翼を担うものとしたことが示唆された.