2020 年 11 巻 1 号 p. 13-19
Negative pressure wound therapy(以下NPWT)は創傷の治療において有用性が報告されているが,筆者らは,NPWT機器を用いて植皮片の固定を行い非生着に至った症例を経験した。植皮片の固定に,NPWT機器を利用したものと従来法とを比較検討したので報告する。
局所陰圧閉鎖療法にて,移植床の wound bed preparation 後に分層植皮術を施行した症例中,植皮片の固定に陰圧閉鎖機器を用いた55症例(NPWT群)と,Tie-over 固定あるいは包帯による圧迫固定を行った58症例(従来法群)を対象とし,固定期間,部位など7項目を検討した。NPWT群ではさらに使用機器など3項目を検討した。植皮片の生着率は,従来法群が有意に高かった。両群間では,ほかに初回ガーゼ交換までの期間で有意差を認めた。
NPWT群の生着率が低かった原因として,過剰な滲出液が関係していると考えられた。