創傷
Online ISSN : 1884-880X
ISSN-L : 1884-880X
11 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
原著
  • 山内 大輔
    原稿種別: 原著
    2020 年 11 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/05
    ジャーナル フリー

     SubzoneⅡ指尖部完全切断指に動脈再建のみ行い,静脈縫合とPin-prickを含めた瀉血処置を一切行わなかった再接着術の治療成績を後ろ向きに検討した。対象は男性8例,女性4例の12例で,平均年齢は55歳(23~74歳)であった。12例中11例が生着した。生着した症例は,指尖部は術後3日程度までは暗赤色-赤色になっていたが,その後は自然に改善し,術後1週間程度でピンク色に戻っていた。瀉血は適宜行うが静脈縫合を行わなかったSubzoneⅡの指尖部完全切断指に対する再接着の生着率は,62%~88%と報告されている。本検討の結果はこれらの報告と比べて劣ることはなく,SubzoneⅡの指尖部完全切断指は動脈再建を行うだけで静脈再建やPin-prickを含めた瀉血操作を一切行わなくても,静脈再建した場合と同等の生着率が得られる可能性が示唆された。

  • 大沼 眞廣, 石崎 力久, 北 愛里紗, 北田 文華
    原稿種別: 原著
    2020 年 11 巻 1 号 p. 8-12
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/05
    ジャーナル フリー

     毛巣洞は体毛の刺入などによって発生する疾患で,仙骨部に好発する。その手術方法に関してはさまざまな報告があるが,われわれは殿裂の平坦化を目的として transposition flap を施行している。今回この方法を施行した過去約6年間18例に関して,疫学的特徴とともにその術後経過を調査した。結果,当科で治療を行った患者は男性や若年者,肥満者が多く,職業に関しては一定の傾向を認めないという過去の報告と類似した特徴をもっていた。そして毛巣洞手術で最も焦点となる再発率は,18例中,6ヵ月以上の経過観察が可能であった11例で9.1%と十分に低く,transposition flap は有用な方法であると考えられた。一方で創離開を生じる割合は高く,今後はその割合を減少させる方法を検討する必要がある。

  • 黒田 友集, 池田 憲一, 宮永 亨, 山下 昌信, 岸邊 美幸, 島田 賢一
    原稿種別: 原著
    2020 年 11 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/05
    ジャーナル フリー

     Negative pressure wound therapy(以下NPWT)は創傷の治療において有用性が報告されているが,筆者らは,NPWT機器を用いて植皮片の固定を行い非生着に至った症例を経験した。植皮片の固定に,NPWT機器を利用したものと従来法とを比較検討したので報告する。
     局所陰圧閉鎖療法にて,移植床の wound bed preparation 後に分層植皮術を施行した症例中,植皮片の固定に陰圧閉鎖機器を用いた55症例(NPWT群)と,Tie-over 固定あるいは包帯による圧迫固定を行った58症例(従来法群)を対象とし,固定期間,部位など7項目を検討した。NPWT群ではさらに使用機器など3項目を検討した。植皮片の生着率は,従来法群が有意に高かった。両群間では,ほかに初回ガーゼ交換までの期間で有意差を認めた。
     NPWT群の生着率が低かった原因として,過剰な滲出液が関係していると考えられた。

症例報告
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