創傷
Online ISSN : 1884-880X
ISSN-L : 1884-880X
原著
組織欠損の大きさに伴う仙骨部・大転子部褥瘡の手術方法の検討
城下 晃鴻池 奈津子武田 啓
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2021 年 12 巻 3 号 p. 118-126

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抄録

 褥瘡の外科的治療では,褥瘡の皮膚損傷の部位,デブリードマン後の組織欠損の大きさに応じて手術方法(閉鎖方法)を選択することが求められる。当施設で経験した仙骨部褥瘡38症例,大転子部褥瘡13症例に対して,デブリードマン後の組織欠損の大きさにより,長径5cmを境に大小のサイズ群に分類し,比較検討を行った。仙骨部は単純縫縮,局所筋膜皮弁,穿通動脈皮弁,大転子部は単純縫縮,局所筋膜皮弁,大腿筋膜張筋皮弁を中心に各手術方法の特徴,適応,術後局所合併症とその対策を検討した。仙骨部褥瘡の小サイズ群で局所筋膜皮弁を用いた場合,再度外科的加療を要する合併症は認めず,保存加療で治癒する合併症を10%以下で認めるのみで,安全性が高かった。小サイズ群で用いた単純縫縮や大サイズ群で用いた穿通動脈皮弁は有用性がある一方で,それぞれ再度手術加療を要する合併症を33%で認め,術後局所合併症の対策を考慮する必要があった。大転子部褥瘡ではサイズ群にかかわらず,大腿筋膜張筋皮弁を用いた場合,再度外科的加療を要する合併症は認めず,安全性が高かった。

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© 一般社団法人 日本創傷外科学会
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