2022 年 13 巻 1 号 p. 1-7
壊死組織や感染のある創に対して局所陰圧閉鎖療法(negative pressure wound therapy,以下 NPWT)は使用が制限されていたが,2017年に洗浄液周期的自動注入機能付き陰圧閉鎖療法(negative pressure wound therapy with instillation and dwelling,以下 NPWTi-d)が保険適用となり,このような創にも使用できるようになった。NPWTi-dの有用性についての報告は多くあるが,どの程度の感染症に有効なのかの報告は少ない。われわれは,軽度から中等度の感染創32例に対しNPWTi-dを使用し,30例で感染の悪化なく創面環境調整(wound bed preparation)を完了することができた。また使用前後の血清CRP値を統計的に比較し,治療開始時血清CRP値の平均値が3.1 ± 3.8mg/dlの感染創では治療の有効性が示せ,また治療開始の安全値であることが示唆された。