2022 年 13 巻 4 号 p. 167-173
目的:本邦での人工乳房再建は増加しており,手術部位感染(Surgical site infection: 以下SSI)の増加が懸念される。当院における2010年1月から2014年8月までのティッシュ・エキスパンダー(以下TE)挿入による再建後感染率は5.69%(55/967乳房)であった。その後SSI対策を強化したところ一定の効果を得たので,その結果と対策の詳細について報告する。
方法:SSI対策実施後の2014年9月から2018年2月に乳房切除と同時にTE挿入を施行した患者の感染率を対策前と比較し,感染の有無と各種要因との相関を検討した。
結果:全830乳房のうち感染は22乳房(2.65%)で,SSI対策前より有意に低下した(p=0.001)。感染の有無で各因子を検討すると,有意なリスク因子はなかった。
考察:SSI対策前後で感染率は低下しており,効果が得られたと考える。