2022 年 13 巻 4 号 p. 174-181
ケロイドはヒト特有の難治性疾患であり,ケロイドを完全に再現できる理想的な実験動物モデルはいまだに開発されていない。そのため,現在のケロイド治療法に関するエビデンスの多くは症例報告の結果に基づいている。また複数の治療方法を組み合わせた現在の治療では,再発のリスクが高く,ケロイド治療の改善方法が模索されている。新たなケロイド治療薬を開発するうえで,ケロイドを評価するための動物モデルが必要不可欠である。本研究ではヒトケロイド組織を選定し,2系統の免疫不全マウス(ヌードマウスおよび NOD/scid マウス)の皮下に移植した。その比較検討した結果,NOD/scidマウスに移植した組織は11週間生存し,さらに移植組織の一部は増大した。短期間(11週以内)での治療効果を検討する際,NOD/scidマウスモデルは有用であると考えられた。