創傷
Online ISSN : 1884-880X
ISSN-L : 1884-880X
特集1 : 単純縫宿 vs 局所皮弁 ・ Z形成術
顔面皮膚腫瘍切除後欠損における oblique sigmoid 皮下茎皮弁 (OSS flap) の有用性
元村 尚嗣羽多野 隆治小林 理恵坂原 大亮藤井 奈穂原田 輝一
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2012 年 3 巻 2 号 p. 58-63

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抄録
顔面皮膚腫瘍の治療法として,顔面の立体構造が損なわないように,われわれは局所皮弁による再建を行うことが多い。特にわれわれは oblique sigmoid 皮下茎皮弁 (OSS flap) を多用し良好な結果を得ている。顔面原発皮膚悪性腫瘍患者,男性 5 例,女性 6 例に対してOSS flapによる再建を行った。腫瘍の内訳は,基底細胞癌 6 例,有棘細胞癌 1 例,ボーエン病 2 例,日光角化症 2 例であった。部位は,内眼角部 2 例,鼻根 2 例,頬部 5 例,外眼角部 1 例,鼻唇溝部 1 例であった。皮弁は全例で生着し,全例で整容的に満足いく結果となった。局所皮弁による再建は,正常皮膚の切除量が少ないこと,顔面の凹凸を損なわず面として再建できる点が優れている。OSS flapは Onoらにより1993年に報告された皮弁である。適応としては顔面の15mm以下の良性小腫瘍の再建法として優れていると報告されてきたが,われわれは適応を拡大して顔面皮膚悪性腫瘍切除後の比較的大きな欠損に対しても良好な結果を得ている。顔面皮膚腫瘍切除後再建においては,ほとんどの欠損に対してOSS flapは非常に優れた方法である。
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© 2012 一般社団法人 日本創傷外科学会
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