創傷
Online ISSN : 1884-880X
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特集2 : ケロイドの治療戦略
瘢痕・ケロイドに対する治療
~われわれの放射線治療の使い分け~
吉龍 澄子吉田 謙
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2012 年 3 巻 2 号 p. 72-81

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抄録
ケロイドの切除後照射療法は,おもに電子線による外照射と小線源による組織内照射の 2 つの方法がある。われわれは症例に応じて使い分け良好な結果を得ている。
切除後照射を行うのは原則として前胸部,恥骨上部,肩関節周囲の症例である。その他の部位では真性ケロイドのある症例や,再発例,患者の強い希望のある場合に照射を行う。平坦で下に骨組織のある部位や,皮弁の場合は外照射のよい適応になる。一方,複雑な曲面や再発症例などは組織内照射が適している。
1 年以上経過観察したケロイド・瘢痕切除症例は 51 例,64 部位であったが,このうち 13 例,19 部位に術後照射を行っている。外照射は 15Gy (3分割),組織内照射は 12~24Gy (2~4 分割) で照射した。照射例 19 部位中 2 例で再発した (10.5%) が,これは真性ケロイドに対して組織内照射 12Gy (2 分割) した症例であった。部位や病因に応じて照射方法や線量のさらなる検討が望まれる。
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© 2012 一般社団法人 日本創傷外科学会
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