抄録
われわれは, 人工真皮 (ペルナック®, グンゼ(株), 京都) を開発して以来, よりよい人工材料とすべく問題点に対して改良を行ってきた。
人工真皮の欠点は真皮様肉芽組織が形成して二期植皮を行うまでの期間が長く, 感染に対する抵抗性をもたないことである。 人工真皮に塩基性線維芽細胞増殖因子 (bFGF) を局所投与すれば, 人工真皮内で血管新生を促し真皮様肉芽組織形成を促進させるためこれらの問題は解決され, 現在 bFGF を併用した治療法が確立されつつある。 しかしながら bFGF は生体内での半減期が短いため, bFGF の連日投与が必要となる。 新たにその解決策として, bFGF 徐放性人工真皮の開発を行ってきたので, その経緯と今後の展開について報告する。