2013 年 4 巻 1 号 p. 3-8
「きれいに傷を治す」 ことは形成外科医の使命の一つである。 しかしながら, 現状では外傷の当初から必ず形成外科医がかかわっているとはいいがたく, 瘢痕拘縮などにより高度な変形が生じてから紹介されてくる場合も多い。 したがって, 外傷を取り扱う機会のある他科の医師を啓蒙することも, 形成外科医に与えられた使命の一つである。 外傷の治療にあたっては受傷部の解剖学的特性を踏まえたうえで, 創の形状, 深達度, 汚染度, 欠損組織の有無, 大きさなどを評価し, 治療計画を立てる。 その場合, 後日の二次修正を考慮した治療計画を立てることも必要な場合がある。 ここでは, 昨今のペットブームにより, その数が増加傾向にある犬咬創を取り上げる。 なかでも口唇, 外鼻の犬咬創について, 基本的な初期対応から再建術までの治療方針を述べる。