2013 年 4 巻 1 号 p. 9-15
下腿,足部は血行が悪い部位として知られており,なかでも糖尿病性足潰瘍では複数の要因が関与するため,その病態は複雑であり,治療に難渋することが多い。再建外科医としてもむずかしい分野であり,確実な創部の癒合を得るために高位での切断術が行われることも少なくない。潰瘍の主要因である虚血と神経障害を適切に鑑別 ・ 評価し,それぞれの病型に応じて必要な治療を計画しなければ創傷治癒は得られない。虚血型では,創傷治癒に必要な血流を確保するため,血行再建が最優先となる。末梢動脈の閉塞を合併していない神経障害型では,最初から積極的なデブリードマンおよび再建術が可能であり,当科では閉塞のない動脈へ血管吻合を行うことで遊離皮弁移植術を行い,患肢温存と患肢への血流付加を試みている。神経障害型の術後は,足底の免荷のために専用の靴(protective footwear)を履くなどして再発に注意することが大切である。