創傷
Online ISSN : 1884-880X
ISSN-L : 1884-880X
特集1 創傷の急性,亜急性,慢性,難治性をどう定義するか
急性創傷,慢性創傷は時間因子のみでは規定されていない
秋田 定伯
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 4 巻 3 号 p. 135-139

詳細
抄録
 急性創傷と慢性創傷の違いは時間的な観念から論じられるべきでなく,急性創傷は解剖学的,機能的な結合性を維持し,修復課程が時間空間的に制御されたもので,一方,慢性創傷は,解剖学的,機能的な結合性を維持されず,結果として解剖学的,機能的維持性を継続し得なかったものとされる。これは,時間のみでの規定にあまり意味がないばかりか,創傷が急性と慢性にあらかじめ予測しにくいものであることを示唆している。また,急性創傷については,頻度が高いことと,さらに当然治癒するものと考えられているものの,全身性,局所性因子の阻害因子を取り除くことでさらに効果的な創傷治癒が得られる。
 急性創傷と慢性創傷へ分かれる分子機構や,受容体を介した情報伝達機構の検討により,効果的な創傷治療の試みはなされているものの,臨床において慢性になった創傷を急性(性状)創傷(治癒課程)に戻しうるかなど,いまだに曖昧な点も多い。
著者関連情報
© 2013 一般社団法人 日本創傷外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top