抄録
創傷治療においてはアウトカムが設定しにくく,治療の標準化が困難である。また創傷患者の在院日数は比較的長く,急性期病院での在院日数増加の要因の一つである。今回われわれは,局所陰圧閉鎖療法において KCI 社の V.A.C. ATS 治療システムを用いた創傷治療のアルゴリズムをもとにクリニカルパスを作成し,院内での治療の標準化を図ると同時に,創傷治療の経済効果についても検討した。2011 年 3 月から 2013 年 6 月までに,創傷に対して VAC 療法を用いた創傷のアルゴリズムに沿って治療を行った 27 例を対象とし,3 例にパスを使用した。パスを用いて創傷治療の標準化を図ることは,創傷患者の入院期間短縮につながる可能性がある。しかし,急性創傷と慢性創傷では創傷治癒過程が異なるため,タスクを達成するまでの期間についてバリアンスが多く,疾患ごとにパスを作成する必要があると考えられた。