抄録
四肢の悪性骨軟部腫瘍切除後は,可能な限り有茎皮弁で再建されるが,一部遊離皮弁が適応となる。当院の皮弁による再建症例 45 例を遊離皮弁症例と有茎皮弁症例で分類し,腫瘍原発部位・使用した皮弁・腫瘍の長径・皮膚軟部組織の欠損の大きさなどについて比較検討して,遊離皮弁の適応について考察したので報告する。
症例は遊離皮弁症例が 16 例で,有茎皮弁症例が 29 例あった。遊離皮弁症例の腫瘍原発部位は下腿 5 例,大腿 5 例などで,有茎皮弁症例は大腿 14 例,上腕 7 例などであった。使用した皮弁は,遊離皮弁では広背筋皮弁 11 例,遊離腓骨皮弁 2 例などで,有茎皮弁症例では腓腹筋弁 12 例,腹直筋皮弁 8 例などであった。また,遊離皮弁症例では,有茎皮弁症例に比較し骨腫瘍の長径が大きく,軟部腫瘍の皮膚軟部組織の欠損が大きかった。
遊離皮弁の適応は,有茎皮弁が届かない場合,欠損が大きい場合,遊離腓骨皮弁として使用する場合などであった。