創傷
Online ISSN : 1884-880X
ISSN-L : 1884-880X
原著
胸骨骨髄炎・縦隔炎に対する当施設の治療方針
荻野 晶弘大西 清岡田 恵美中道 美保藤井 毅郎林 明照
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2016 年 7 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

 当院では胸骨骨髄炎・縦隔炎に対して V.A.C.ATS® 治療システム (以下 VAC) を積極的に使用し,感染のコントロールと創底管理 (以下 WBP) を行い,筋弁や大網弁などによる再建手術を行っている。
 対象は 13 例 (男性 9 例,女性 4 例),平均年齢 67 歳であった。そのうち 3 例ではデブリードマン後に一期再建手術を施行し,10 例では二期再建手術までの創部感染のコントロールと肉芽増生などの創傷管理を目的に VAC を用い,全例で良好な肉芽増生,感染の鎮静化が得られた。大胸筋下剥離・縫合閉鎖を行った 2 例を除き,11 例では筋 (皮) 弁あるいは大網弁による再建手術を要した。胸骨骨髄炎・縦隔炎の治療のポイントは,できるだけ早期に的確な診断を下し,開創あるいは開胸ドレナージ,デブリードマンを十分に行うことである。そして閉創・再建手術を行う時期を想定しながら VAC 療法による創部の感染コントロールと WBP を行うことが重要である。

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© 2016 一般社団法人 日本創傷外科学会
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