日本薬物動態学会年会講演要旨集
第18回日本薬物動態学会年会
セッションID: 8D14-4
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薬物動態研究のためのトランスポーター・データベースの構築
*横野 芳弥濱 義昌小沢 直記清水 貴子森田 りか曾田 喜崇大橋 彰滝 克彦楠原 洋之前田 和哉杉山 雄一
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キーワード: t-8, d-3, d-20, pharmacokinetics
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抄録
【目的】薬物トランスポーターは基質薬物の生体膜透過を促進する膜蛋白であり、基質薬物の吸収、分布、排泄過程の支配要因の一つであることが知られている。薬物トランスポーターの薬物動態における重要性は、様々な研究報告により年々明らかになりつつある。しかし、トランスポーターの種類の多さ、各研究者による統一性のない命名法(nomenclature)の問題や実験方法の多様性、種差の問題など、情報が多岐に渡り、氾濫しているのが現状である。本研究では薬物トランスポーターに関する研究が更に活性化されることを望んで、文献情報を基に薬物トランスポーターに関するデータベース( T-Search )を構築した。
【方法】データベースを構築する上で、NCBI提供のPubMedによる文献検索を行った。Key word検索によりヒットした数千の文献の中から薬物動態を考える上で重要とされるトランスポーターに関する情報を収集、整理、分類し、データベースに格納した。データベースはWWWを介したクライアント-サーバー型とし、Web上で一般公開することとした。
【結果・考察】トランスポーター・データベース T-Search は、薬物動態に関与すると想定される約75のトランスポーターについて、発現の組織分布情報(肝、腎、腸、脳)、種差(ラット、マウス、ヒト)、基質/阻害剤/誘導剤についての情報、実験方法に関する情報を提供する。データベース利用者の多様な要件に対応できるよう、トランスポーター名、組織名および化合物名からの検索およびトランスポーターが原因と想定される薬物相互作用情報の検索が可能である。各 web pageに示される文献に基づいた情報は、PubMedへのリンクにより大半が容易に原著文献を確認できるようになっている。各画面とも図表にて表示されるよう構成されており、トランスポーター研究を推進する上で、基質認識性や種差などを一目で概観できるという意味で有用であろうと考えている。
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© 2003 日本薬物動態学会
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