日本薬物動態学会年会講演要旨集
第18回日本薬物動態学会年会
セッションID: 8PE-08
会議情報
凍結ヒト肝細胞を用いたCYP1A酵素誘導評価系の検討
*松岡  和明北村 龍一山本 佳男山下 和正
著者情報
キーワード: h-4, i-8, c-40
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】ヒト培養肝細胞を用いたin vitro酵素誘導の評価は薬物相互作用を予測する上で有用であり,その評価には安定した入手が可能な凍結ヒト肝細胞が利用されている.これまで凍結ヒト肝細胞を用いた酵素誘導系では,接着状態のバラツキ等により安定した評価は困難であった.しかし最近,細胞の接着状態を改善した融解法が推奨されている.今回,この融解法により調製した細胞を用いて酵素誘導における従来法との比較検討を行うと共に,酵素活性及びmRNA発現量からより精度の高いCYP1A酵素誘導の評価を試みた.【方法】凍結ヒト肝細胞(In Vitro Technologies, Inc.)は氷温まで融解した後,氷冷あるいは37℃に暖めた培地に懸濁し24 well collagen coated plateに蒔いた.48時間接着培養後,既知のCYP1A誘導剤を暴露しCYP1A活性(7-Ethoxyresorufin O-脱エチル活性)を測定した.酵素活性測定後,Total RNAを抽出しABI PRISMTM 7700 Sequence Detection Systemを用い,One-Step RT-PCRにてmRNA(CYP1A1及び1A2)発現量を測定した.【結果・考察】推奨される融解法により接着状態の改善が確認された.更に,既知のCYP1A誘導剤による検討では,薬剤暴露後のCYP1A活性及びmRNA発現量の対照群に対する割合は,従来の融解法と比較しそれぞれ約1.7-190倍及び約1.2-4倍に上昇した.また,薬剤の暴露時間に対する酵素誘導の検討では,酵素活性及びmRNA発現量の2点から安定した酵素誘導の評価が可能であった.

著者関連情報
© 2003 日本薬物動態学会
前の記事 次の記事
feedback
Top