日本薬物動態学会年会講演要旨集
第18回日本薬物動態学会年会
セッションID: 8PE-11
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カクテルプローブ基質を用いた5 CYPsに対する阻害強度の同時評価系確立
*小笠原 祐子山田 泰弘
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キーワード: c-29, i-10, d-20
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抄録

【目的】単数あるいは複数のシトクロムP450(CYP)分子種を強力に阻害する薬物は,臨床の場において重篤な薬物相互作用を引き起こすことが多数報告されており,ヒトにおいて有効かつ安全性の高い医薬品を効率よく選定するためには,開発初期段階において複数のCYPsでの阻害試験を行うことが必須である.今回,我々は,プローブ基質をカクテルとして応用することにより,従来法と比較して5倍以上の処理能力を有する新規試験系を確立し,その有用性を明らかにした.【方法】ヒトにおける主要な5分子種であるCYP1A2, CYP2C9, CYP2C19, CYP2D6, CYP2E1およびCYP3A4のそれぞれの特異的基質としてフェナセチン,ジクロフェナック(あるいはトルブタミド),S-メフェニトイン,ブフラロールおよびミダゾラム(あるいはテストステロン))を選択した.これらの基質をカクテルし,ヒト肝ミクロソームとインキュベイションを行ない,代謝物をLC/MSで定量した.インキュベイション時間およびミクロソーム蛋白濃度は線形性の得られる範囲で行った.各分子種の特異的阻害剤としてα-ナフトフラボン,スルファフェナゾール,トラニルシプロミン,キニジンおよびケトコナゾールをそれぞれ使用した.【結果・考察】LC/MSによる分析時間は一サンプルにつき12分であった.13種のcDNA発現系酵素あるいはヒト肝ミクロソームおよび特異的阻害剤を用いた代謝反応試験においてカクテルでの基質特異性が確認された.阻害剤のカクテル基質に対するIC50値を単独基質使用時と比較したところ両者間でほぼ同じであった.また日内および日間変動も両者間で非常に小さかった.本試験系は処理能力が高いため,探索初期段階における多種多様な被験薬物のCYP阻害プロファイルを測定するのに有用である.

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© 2003 日本薬物動態学会
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