2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 219_2
平成18年度の研究と世論調査からは年800件程度の脳死下・心停止下臓器提供があって然るべきであるが、昨年は約120件にとどまっている。ここには家族の負担だけでなく、現場の医療者側の負担が問題であると感じている。 まず家族の負担として、家族は「カードをいつ出したらよいか」教わっていない。医療者が「脳死」や「臓器提供」というキーワードを出さない限り、家族はいつ話を切り出したらよいかわからない。また今まで臓器提供について話したことがなければ、医療者が選択肢提示をすることで、家族で話し合いをもってもらうことができる。すなわち医療者側から選択肢提示をしなければ、何も始まらない。 しかし選択肢提示を、医療者は負担と考えている。どんな患者が臓器提供可能か分からない、家族にどう選択肢提示をしたらよいか教育を受けていない、だから家族に話すことができない。また提供することになったとしても、全身管理や移植医とのやり取りが医療者にとって負担になる場面もある。 家族内での意見の葛藤や承諾までの長い説明時間なども家族の負担となり、臓器提供希望する終末期患者の家族対応を医療者が負担ととらえている場合もある。今回、今までの経験や当院での調査および茨城県の臓器提供施設連携事業を元に、家族や医療者の負担をどう軽減することができるのかを考えていく。