移植
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日本での心停止後臓器提供、心停止後肝移植を進めることは可能か?
伊藤 孝司八木 真太郎秦 浩一郎田浦 康二朗
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2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 217_2

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抄録

近年脳死下臓器提供数は増加してきているものの、各臓器ともにレシピエントの待機時間は変わることがなく、慢性的な臓器不足の状態は変わっていない。世界中でも同様の状況がつづいているが、欧米では心停止後からの肝臓提供が増加しつつある。現在、日本での肝移植は生体肝移植が80%以上を占めており、生体ドナーがいない場合には、脳死肝移植を待機するしか方法がない。現状でも脳死肝移植はゆっくりではあるが確実に増加しているものの、まだまだ欧米と比較して少ない。米国UNOSでの臓器提供数を見ると、2018年には約20%の心停止後ドナーからの臓器提供を認めており、今後もますます増加することが予想される。実際、将来日本での心停止後の臓器提供が可能かどうかを検討すると、いくつかの課題解決が必要になってくる。①心停止後臓器提供数をどのように増やすか、②提供後の肝臓配分の法整備、③提供された肝臓を最大限に使用する方法(Machine perfusionなど)等、多数の課題が見えてくる。今回、日本で心停止後の肝移植を進めるためには、心停止後の臓器提供の課題、肝移植を行うための課題、それらの解決方法などを改めて検討したい。

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