移植
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循環器内科医のサブスペシャリティとして移植内科という選択
菊池 規子佐藤 琢真服部 英敏野本 美智留市原 有起斎藤 聡新浪 博士萩原 誠久布田 伸一
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2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 223_2

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抄録

治療抵抗性難治性の65歳未満の重症心不全患者は、心臓移植の適応となりうる。ドナーの数が限定的である我が国においては、多くの患者は植込型補助人工心臓を装着し、年単位での待機を余儀なくされる。待機中に起こりうる様々な合併症もあり、定期的な全身評価、移植手術前の評価も重要である。移植の周術期の免疫抑制療法のレジメを決定・調整するには、レシピエントの腎機能や感染症、ドナー・レシピエントのHLAマッチングなどを考慮する。移植後急性期は拒絶反応に注意しながら、心筋生検などの諸検査、感染症対策、免疫抑制療法の管理を行っていく。移植後慢性期には患者の予後に大きく関与する腎機能障害や悪性腫瘍、移植心冠動脈病変などの管理が重要であり、患者の生涯を通じて必要となる。心不全から移植後長期に亘る一連の治療・管理をシームレスに行っていく上で循環器内科医の関わりは必須であり、患者との信頼関係の構築も重要で、移植内科の実践は正に内科医の醍醐味ともいえる。しかし、循環器内科のサブスペシャリティとして移植内科の構築はまだ始まったばかりである。日本移植学会においても「移植内科医育成」を目的としたTransplant physician委員会が2020年に設立された。移植実施施設での内科医の関わりの現状についてアンケート調査がなされており、その結果も合わせて報告する。 

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