移植
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腎移植後超早期・早期TMA症例における補体関連因子解析~多施設共同後向きコホート研究~
藤山 信弘佐藤 滋田﨑 正行蔦原 宏一松本 明彦上條 裕司原田 浩豊田 麻理子岩見 大基乾 政志白川 浩希杉村 淳齋藤 満井上 徳光若宮 伸隆
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2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 233_1

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抄録

腎移植後超早期・早期発症の血栓性微小血管症(TMA)における患者背景及び補体関連因子の解析結果を報告する。術後1週以内のTMA発症群の全国11施設19症例において、臨床データ収集、血液検査及びNGS解析を行った。血液検査はnon TMA群9例と比較した。患者背景は、献腎1例、生体腎18例(グラフト喪失5例)、17例がABO不適合移植で、16例はPEやDFPPによるコンディショニング不十分症例と思われた。グラフト喪失症例はすべて12時間以内のTMA発症例であった。遺伝子解析からCFHR3/1欠失、CFHR1/4欠失、CFHR1 D35Vfs(終始コドンを伴う欠失)などの補体制御系の欠損をもつ症例が見られた。腎移植後TMA発症直後にグラフト喪失に至ったのはCFHR1/4欠失例のみであった。その他CFH、MCP、C3、CFIなどに疾患関連候補としてマイナー頻度変異が見つかった。血液分析では補体代替経路CFB分解産物Ba値や補体制御因子CFI値においてTMA群とnonTMA群で差が見られた。CFH-IgG高値2例やC4高値4例がTMA症例にのみ見られ、CFH-IgG高値例ではCFH SCR18の変異を持つ症例があった。【結語】CFHR欠損が腎移植後早期TMAの危険因子の1つと考えられ、Baなどが血液マーカーの候補として考えられたが、重症度やグラフト喪失との関連性は更なる評価が必要である。

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