2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 238_1
【はじめに】既存抗体陽性腎移植は脱感作療法を施行しなければ抗体関連型拒絶(以下AMR)を高率に発生し早期移植腎廃絶のリスクが高いといわれている.2013年11月から術前にflow PRA、シングル抗原同定検査を全例に行い脱感作療法の適応を決定している。今回その結果を検討したので報告する。【対象】2013年11月から2019年12月までに当院で行った腎移植は78例のうちpreformed DSAを認めたものは20例であった.そのうちの5例はflow PRAで陰性と判定されていた.【結果】男性5例,女性15例,年齢平均52歳(31~76歳)でドナーは夫6,妻1,親9,その他4であった.血液型不適合移植は9例であった.感作歴として輸血歴あり8例,妊娠歴あり11例,移植歴あり2例,輸血歴・妊娠歴・移植歴すべてなしは7例.脱感作療法として全例リツキシマブ(平均投与量673㎎)投与し,血漿交換を17例に行った.AMRを発症した症例は2例(10%)あり,ステロイドパルス療法,血漿交換,リツキシマブ,グスペリムス塩酸塩により軽快した.現在全例生存生着中である.直近のeGFRは平均57.3 ml/min/1.73m2であった.【まとめ】preformed DSA陽性腎移植は脱感作療法を行うことで良好な成績であった.