2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 245_1
腎移植における現在の免疫抑制療法はカルシニューリン阻害剤によるヘルパーTリンパ球抑制が主体であり、移植後感染症としてウイルス感染症の頻度が高い。免疫抑制に伴う症状の増悪のみならず、ウイルス感染自体が更なる免疫抑制やその他の合併症を引き起こすため、その診断及び治療は移植医療において重要である。移植後レシピエントが罹患するウイルス感染症として、ヘルペス属ウイルスを中心にBKウイルスやアデノウイルス、EBウイルス等が知られているが、特にBKウイルスおよびアデノウイルス感染は他臓器移植における感染と比較して、BKウイルス腎症や出血性膀胱炎など、移植腎泌尿器へ直接障害を与えうるという特徴があり、移植後加療には注意を要する。自験例を交えて発表を行う。