移植
Online ISSN : 2188-0034
Print ISSN : 0578-7947
ISSN-L : 0578-7947
生体肝移植における手術顕微鏡下バックテーブル動脈形成術を用いた肝動脈再建
原田 昇吉住 朋晴伊藤 心二戸島 剛男長尾 吉泰栗原 健王 歓林島垣 智成武石 一樹井口 友宏萱島 寛人二宮 瑞樹前田 貴司森 正樹
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 248_2

詳細
抄録

【背景】生体肝移植では肝動脈は末梢での採取となり、複数再建が必要となることがある。レシピエントでの複数の動脈再建はサージカルフィールドが深部であり、また最適なレシピエント再建動脈を認めないこともあり、全ての肝動脈再建が困難な場合がある。【目的】複数の肝動脈再建を必要とする肝グラフトにおいて、バックテーブルでの動脈形成を用いた動脈再建術について報告する。【方法】症例:アラジール症候群の1歳男児で母親の外側区域グラフトを用いて生体肝移植を施行した。肝グラフトにおいてA2(右胃動脈から派生)及びA3+4+胆嚢動脈の2本の肝動脈を認め、それぞれ径が1mmと細径であった。レシピエント全肝摘出の待機時間中にバックテーブルにて手術顕微鏡を用いて、1穴に形成し、レシピエントの右肝動脈とin-situで再建し、経過は良好であった。冷保存時間の延長は認めなかった。【結果】動脈形成術、肝動脈再建術時間は19分と32分で、再建後の肝動脈血流は110ml/minであり、ドッップラーエコーにて血流は良好であった。現在移植後30ヶ月であるが、経過は順調であり、胆管合併症を認めていない。【まとめ】肝動脈複数再建の必要な生体肝移植における手術顕微鏡下バックテーブル動脈形成を用いたレシピエント肝動脈再建は吻合部位を1穴とすることによって、レシピエントにおける肝動脈再建が簡素であり、有効である可能性があった。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top