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臓器機械灌流法を活用した肝臓内流動特性の迅速低侵評価のための時空間蛍光画像計測
小原 弘道二方 幹弥松野 直徒渡辺 大智佐藤 優樹中條 哲也絵野沢 伸平野 俊彦暮地本 宙己古川 博之梨井 康
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2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 260_1

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抄録

[目的]ECD(Extended criteria donor)の臓器機能を回復しドナープールの拡大を目指す臓器機械灌流法において、臓器機能評価は極めて重要である.血管抵抗や代謝因子などが経験的な指標はあるものの、肝臓の複雑な流動構造に着目した評価指標の報告は少ない。本報告では臨床でも利用可能なICGを用いて肝臓内流動特性の低侵襲かつ迅速な評価をおこなうための時空間蛍光計測法を提案し,ブタ臓器をもちいた実験により虚血障害予測に向けた評価をおこなう。[方法]実験では臓器機械灌流装置に近赤外域まで評価可能な高感度CCDカメラを用い、近赤外領域も含む蛍光計測をおこなった。WIT(温阻血時間)30分、60分を経たブタ肝臓に対して復温下での4時間機械灌流の後、体外血液再灌流時に灌流液にICGを添加し時空間的な蛍光計測をおこなった。計測は再灌流開始から30分において行い、撮影した蛍光画像を機械学習を援用した画像解析手法を用い評価した。[結果]実験を行ったWIT30分、60分臓器間では、ICG蛍光の観測できる領域、及び蛍光の形態に差が見られた。特に虚血障害の激しいWIT60分の肝では肝臓末端までの血液流動は確認できず、一部では斑状の特異な形態が観測された。[結語]ICG蛍光特性を用いた時空間的な画像計測にもとづく解析により肝臓機能評価に向けた非侵襲かつ迅速な虚血障害予測手法の可能性を示した。

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