移植
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急性肝不全昏睡型の肝移植成績および予後不良因子の検討
宮城 重人戸子台 和哲中西 渉藤尾 淳柏舘 俊明佐々木 健吾菖野 佳浩太田 嶺人亀井 尚海野 倫明
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2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 280_1

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抄録

目的:急性肝不全昏睡型は、肝性昏睡からの覚醒効果に優れるon-line HDFが普及し内科的治療成績も向上してきているが、亜急性型は未だ生存率不良であり肝移植に頼らざるを得ない症例が多く存在する。本研究では、急性肝不全昏睡型の肝移植成績及び予後不良因子について検討する。方法:2020年4月までの当院肝移植肝移植201例のうち、急性肝不全昏睡型と診断された12例(HBV4例、原因不明8例)であった(急性型6例、亜急性型6例)。これらについて成績、予後不良因子を検討した。結果:5年生存率は急性肝不全昏睡型群12例とその他189例で各々75.0%と81.9%、10年生存率は65.6%と76.8%であり、統計学的有意差を認めず比較的良好であった。急性型と亜急性型の比較では10年生存率は各々66.7%と62.5%であり、こちらも有意差を認めなかった。術後1年以内の早期死亡例を3例に認め、成人亜急性型(原因不明)1例と小児急性型(原因不明)2例であった。死因は原疾患再発と考えられる肝不全2例、VOD1例であった。単変量解析では年齢、体重、出血量、亜急性型、移植肝重量等を検討したが、いずれも予後不良因子とは言えなかった。結語:急性型、亜急性型を含め治療成績は比較的良好であった。本研究では明らかな予後不良因子を認めなかった。症例数が少ないため参考値となるが、原因不明症例は予後不良の可能性を認めた。

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