移植
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多量の業務と陰性感情をうけとめる―兼任院内コーディネーターのリアルワールド―
平井 理心
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2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 323_2

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抄録

筆者の主の業務は、医療安全部門における臨床心理士である。そこでは、医療事故に遭った患者・家族および医療者のケア、医療事故再発防止策の心理学的視点からの策定、苦情・クレーム対応等の業務がある。そして、院内コーディネーター(以下、Co)を兼任している。当院には院内Coが7人いるが、業務量はかなりものになる。ドナー発生時は、家族のケアや意志決定支援を行う。筆者は医療メディエーターの上級認定をうけており、このskillとbihaviorが非常に役に立っている。また、スタッフにも随時声をかけ様子をうかがい、その場でケアを行う。職員間で勃発した紛争も治めなければならない。臓器提供後は、家族のグリーフケアに関わっている。1年以上継続している事例もある。また、平時は医療安全業務に加えて、臓器提供・移植医療の院内体制整備を行っている。研修会の実施、職員意識調査の実施等を行った。現在は、臓器提供/摘出時の職員へのインセンティブ制度をつくっている。全国の国立大学附属病院に照会し、この結果をもとに院内制度を策定中である。このように、ドネーションのみならず、移植医の環境改善等にも関わっている。大量の業務や陰性感情の対応にもかかわらず、心を整えていられるのは、県・院内Coをはじめとする信頼する仲間が居ることである。大切な仲間と共に居る。これが私のリアルワールド。

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