2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 342_3
【背景】小児肝移植は成人より門脈合併症の発生率が高く、致命的な合併症である。当科で生体肝移植後門脈合併症を来した小児例について検討した。【対象と方法】2001年1月から2020年3月までに当科で生体肝移植を行った小児例97例を後方視的に検討した。【結果】門脈合併症は11例に認め、移植後6カ月以内の早期が4例、6カ月以降の晩期が7例であった。早期合併症は全例門脈血栓であり、3例は再手術を行い、1例は保存的治療を行った。晩期合併症は全例門脈狭窄であり、平均約2年で診断され、3例は閉塞し、門脈圧亢進に伴う消化管出血を反復した。治療は3例がバルーン拡張、1例がRex Shunt術、1例がステント留置を行った。2例は保存的に経過観察している。門脈合併症例と非合併症例を比較すると、門脈合併症例は有意に低年齢、低体重であり、GV/SLV、GRWRは有意に高かった。グラフトの種類、血液型、手術時間、術中出血量、輸血量に有意差はなかったが、冷虚血時間は有意に門脈合併症例で長かった。術中所見では、吻合部の口径差が有意に大きく、吻合後の門脈血流量は低値であった。また、門脈合併症はパッチグラフトを使用している症例で多かった。【結語】門脈合併症は晩期に起こることが多く、定期的なエコーなど慎重な経過観察が重要である。低年齢児、冷虚血時間が長い症例、口径差が大きくパッチグラフトを使用している症例は要注意である。