移植
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難治性尿漏に対して第XIII因子製剤を投与し改善を認めた1症例
前之園 良一松永 知久平野 一能見 勇人谷口 俊理南 幸一郎上原 博史稲元 輝生東 治人
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2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 367_2

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抄録

移植技術の進歩にも関わらず泌尿器系の合併症は一般的であり、結果移植片の喪失を引き起こす事はよく知られている。我々は今回、二卵性双生児のドナーからの生体腎移植後に尿漏を発症し、その後に腎盂尿管吻合術と尿管ステント留置したにも関わらず、継続的な尿漏が持続した57歳の男性の症例を報告する。糖尿病性腎症による慢性腎不全に対してpreemptiveに右腸骨窩生体腎移植を施行した。術中は尿管ステントの留置は行わず、術後の尿の流出は良好であった。移植術後5日目尿量が低下し画像検査にて移植尿管からの尿漏出を認めた。腎移植8日目に固有右尿管と移植腎盂を利用して腎盂尿管新吻合術を施行したが、尿漏は術後も持続した。その際の血液検査で血漿第XIII因子レベルが48%と低下していた為、第XIII因子製品を投与を行った。腎不全または移植患者における第XIII因子製品の有用性と安全性は不明であるが、副作用を呈することなく第XIII因子製品を投与後に尿漏が改善した。さらなる追加調査が必要であるが、第XIII因子製品の投与は、移植後の難治性尿漏の1つの選択肢となる可能性がある。

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