移植
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夫婦間生体腎移植後、生活背景の変化した患者への心理的支援の検討
相庭 結花伊藤 歩瀬田川 美香立原 恵里子山本 竜平藤山 信弘羽渕 友則佐藤 滋
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2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 375_2

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抄録

【目的】今回我々は、移植後の生活背景の変化・夫婦間の関係性のこじれから怠薬という行動に陥った症例に遭遇した。レシピエント、ドナーの悩みや不安などに早期介入ができていれば怠薬を防ぎ腎機能の悪化を防ぐことができたのではないかと考え、今後の心理的支援のあり方を再検討することを目的とした。【症例】レシピエントA氏、男性。糖尿病性腎症。夫婦間生体腎移植を行った。移植後、糖尿病性網膜症による視力低下、膝関節症進行からのADL低下のため離職を余儀なくされた。その後は内服管理や食事、病院の送迎など日常生活の大部分を妻の支援を受けながら生活を送っていたが、妻との口論をきっかけに自暴自棄になり怠薬に至り急性拒絶反応を発症し緊急入院となった。【考察】A氏は仕事の継続や子が若いことを理由に腎移植を希望したが、離職を契機に生活背景の変化後、思い描いていた姿と現状が乖離し精神的な苦痛を認めていた。それが健康行動へ影響を与えた可能性があった。そこで、生活背景が変化しても移植腎が長期生着できるための支援が必要であると思われた。臨床倫理の4分割表で具体的な支援を検討したところ、家族やキーパーソンへの退院指導や外来指導、非来院時の安否確認、多職種と協働した指導や相談支援、ADL維持向上支援を行っていくことが重要であると考えた。以上を踏まえ、今後さらなる支援体制の整備、再構築し、患者のサポートを強化していく方針である。

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