2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 375_1
【はじめに】橋中心髄鞘崩壊症(以下CPM)は、肝移植後のまれな神経学的合併症である。CPMでは、意識障害、構語・嚥下障害及び四肢麻痺などを呈する。患者の機能回復を目的に、レシピエントコーディネーター(以下RTC)として介入した経験について報告する。【症例・経過】60代女性。劇症肝炎に対して脳死肝移植施行。移植後10日目頃より構音障害、嚥下障害、四肢麻痺や呼吸筋麻痺が出現し、経管栄養、気管切開による気道管理を要した。移植後24日目に薬剤性疑いのCPMと診断され、免疫抑制剤変更となった。RTCが中心となり、在宅療養を見据えた機能回復を目的とした多職種カンファレンスを開催し、嚥下機能評価や効果的な理学療法を計画し実施した。また、多職種からの個別の相談に対応し、問題点の振り返りなども行った。神経学的予後は不良と判断されていたが、徐々に四肢運動や会話、経口摂取が可能となった。患者と家族が精神的に不安定となる時期もあったが、RTCが患者と家族と積極的に面談をし、不安を表出できるように関わった。徐々に運動機能の回復は認められたが、在宅療養への準備も必要であり、移植後140日目にリハビリテーション目的の転院となり、転院後約1カ月で自宅退院となった。【結論】CPM症例を経験し、機能回復を目的とした多職種連携の構築と継続的な患者と家族の精神的支援におけるRTC役割の重要性を再認識した。