移植
Online ISSN : 2188-0034
Print ISSN : 0578-7947
ISSN-L : 0578-7947
心臓移植後拒絶の総括的スクリーニングとしてのアンモニアPET検査
菊池 規子長尾 充展服部 英敏野本 美智留市原 有起斎藤 聡新浪 博士萩原 誠久布田 伸一
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s108

詳細
抄録

【背景】移植心冠動脈病変(CAV)は、細胞性拒絶、抗体関連型拒絶の免疫反応をもとに、その他の修飾因子も加わり、冠動脈の内膜が肥厚し、びまん性内腔狭窄を来たす。冠動脈造影(CAG)や血管内超音波法(IVUS)が診断のゴールドスタンダードであるが、微小血管の変化は検討できない。アンモニアPET検査は、心筋血流や血流予備能を定量化することができる非侵襲的な検査であり、移植後拒絶の総括病態を示すCAVにおける有用性について評価した。

【方法・結果】41名の心臓移植患者(平均年齢39歳、移植後平均11年)のアデノシン負荷アンモニアPET検査のデータを解析した。Myocardial flow reserve (MFR)はstress/rest Myocardial blood flow (MBF)で算出した。MFRが2.0未満を有意な虚血と定義した。移植患者の平均MFRは2.3 ± 0.7であり、コントロール群(3.1 ± 0.7)と比較し有意に低かった(p<0.001)。移植患者のCAG・IVUS所見とMFRを比較したところ、CAGで狭窄病変のない患者のMFRは低下から保持まで様々であったが、IVUSでCAVを認めるほとんどの患者ではMFRは2未満と低下していた。

【結論】アンモニアPETで算出したMFRは移植患者の1/3で2.0未満を示した。移植後拒絶の総括評価としてのアンモニアPET検査の有用性を詳細に評価するためにさらなる検討が必要である。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top