2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s107
重症心不全に対する治療である心臓移植について、その後の管理としては移植心を拒絶から守ることが最も肝要となる。拒絶には細胞性拒絶と抗体関連拒絶があるが、グラフト機能を保持するためには拒絶の状況をもれなくスクリーニングすることと、これに対する適切な治療が重要である。
移植心の拒絶の診断のゴールデンスタンダードは心筋生検組織による病理組織学的診断になるが、心筋生検は侵襲的な検査のため、頻度多く行うのも困難でありサンプリングエラーもあり得る。血液検査・心電図や心臓超音波をはじめとした生理学的検査によっても拒絶を示唆する所見をえることもできるが、抗体関連拒絶に関しては抗HLA抗体の存在も示唆的な所見である。また最近では心臓MRIの技術によって拒絶のスクリーニングを行う試みもはじめられている。
文献的な検討を交えながら、当院での拒絶のスクリーニング法について再考し、より適切な方法論について検討する。