移植
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機械学習による拒絶後の移植腎のCKD stage上昇の予測
岩藤 和広平田 真依子片岡 浩史望月 俊雄土谷 健新田 孝作
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s114

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抄録

【目的】拒絶反応は移植腎機能廃絶の主たる要因の一つである。拒絶後の移植腎が機能低下するか否かを機械学習によって予測することを試みた。

【方法】2008~2015年に東京女子医科大学腎臓外科で施行した腎移植774例から腎生検で拒絶と診断した132例を対象とした。目的変数Yは拒絶から5年後のCDK stageが拒絶時より上がっていれば1、いなければ0とした。拒絶時にstage 5の場合は透析再導入で1とした。説明変数Xは、移植前、移植~拒絶、拒絶時、拒絶後一年以内の免疫、病理、生化学など158項目とした。Permutation testなどでYと関連の強いX’を選び、8つの機械学習モデルから最も高精度のモデルMを選び、X’とYから予後予測モデルM’を作成した。

【結果】stage上昇(SU)群は64例(48.5%)で、移植~拒絶の期間と各種Banff scoreが有意に高く、拒絶後のTacrolimusの濃度が有意に低かった。またSU群でCA-AMRの頻度が有意に高く、拒絶前のMMFやMedrolの投与量が有意に低かった。Symbolic Regressionが最も予測精度が高く、leave-one-outの交差検証でAUC 0.773の予測モデルM’が得られた。頻用された予測因子は、Banff g、ptcbm、拒絶後の免疫抑制剤濃度、Hb値などだった。

【考察】慢性期の拒絶の予後が悪く、Banff scoreは有用な予後予測因子で、拒絶後の免疫抑制剤の濃度を高めに保つことが予後を改善する可能性が示唆された。

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