移植
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移植腎生着死亡レシピエントの検討
藤原 拓造窪田 理沙太田 康介高橋 雄介
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s115

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抄録

【背景】移植腎生着延長、レシピエント高齢化を背景に生着死亡例は増加している。【対象・方法】1988年11月より2019年3月までに当科で施行し観察打ち切り時点まで当科に通院した18歳以上の腎移植レシピエントのうち、1年未満の死亡・機能廃絶例を除いた302症例(生体236、献腎66例)を対象とし、2021年3月31日時点で当院診療録より評価した。生着群(n = 193)、機能廃絶群(n = 83)、生着死亡群(n =26)の3群に分け、比較検討した。3群間で有意差を認めた臨床項目を用い、多変量解析にて生着死亡の危険因子を求めた。【結果】移植から死亡までは平均8.0± 5.7(中央値;7.6年)で、死因は悪性疾患11、心血管疾患3、脳血管疾患2、感染症6、突然死4例であった。3群間で有意差を認めた項目はレシピエント年齢、ドナータイプ、移植施行年、ABO血液型不適合性、1年以内の拒絶反応の発症、1年後の移植腎機能、悪性疾患の発症であった。生着死亡の多変量解析で有意差を認めたのはレシピエント年齢(相対ハザード; 1.062, 95% 信頼区間; 1.024 – 1.102, p = 0.001)と悪性疾患発症(相対ハザード; 3.165, 95% 信頼区間; 1.565 – 8.632, p = 0.003)の2項目であった。【考察・結語】高齢レシピエントにおいては悪性疾患スクリーニング、心血管疾患対策、適切な免疫抑制療法等が肝要と思われた。

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