移植
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日本における腎移植の性差の検討
中川 由紀野崎 大司小笠 大起知名 俊幸河野 春奈清水 史孝磯谷 周二永田 政義武藤 智堀江 重郎
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s116

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抄録

はじめに: 近年糖尿病性腎症の腎不全の増加に伴い、腎移植を希望する患者も男性が多く占め、夫婦間腎移植も増加している。必然的にドナーの女性の占める割合も多くなる。腎移植における性差によっての予後の違いやリスク因子に性差の関連性について検討したので報告する。

対象:2010年1月から2019年12月までに日本で行われた14604症例の生体腎移植にてついて解析した。

結果: 血清Cr, eGFRは女性ドナーの方が良かった。男性ドナーは女性ドナーに比べ、Body mass index とBody Surface Area は優位に大きいが、喫煙者が多くなる、高血圧、糖尿病の割合が多く、ハリスククドナーが多かった。ドナーの性別によってのレシピエントの生存率、生着率ともに、男性ドナーの方が女性に比べ優位に予後が良かった。

日本の生体腎移植の中で1年後のCrを確認できた7577症例の1年後eGFRが 30mi/min以下のCKDリスク因子について検討した。ドナー年齢、レシピエント年齢、ドナーのBody Surface Area 、ドナーの糖尿病の既往、ドナーの高血圧の既往、Baseline eGFR が有意なリスク因子であった。性差は有意なリスク因子とはならなかった。

結語:本邦ではドナーの女性の占める割合が6割以上であった。男性ドナーの方がバックグラウンドは腎機能の予後不良リスク因子を多く占めていたが、移植腎生着率は良好である。移植腎の予後に、体格差が関与している可能性が高い。

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