移植
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SARS-CoV-2感染培養システムによる免疫抑制剤のウイルス抑制効果の検討
田中 友加坂口 剛正大段 秀樹
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s12

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抄録

【はじめに】臓器移植患者にSARS-CoV-2が感染した場合、免疫抑制下であるが故に急激に重症化する報告がある。免疫抑制薬による患者管理には慎重な対応が求められる。本研究は、各種免疫抑制剤がSARS-CoV-2複製へ与える影響について、in vitro SARS-CoV-2感染システムを用いて解析した。

【方法】SARS-CoV-2/JP/Hiroshima-46059T/2020株のVeroE6/TMPRSS2細胞感染培養系に各種免疫抑制剤を臨床有効濃度を振って添加し、RNAウイルス量をRT-PCRで、細胞内ウイルス蛋白をウェスタンブロッティング法で解析した。

【結果】CNI阻害剤(tacrolimus, cyclosporine)、mTOR阻害剤(everolimus)、ステロイド(methylpredonisolone)、プロテアソーム阻害剤(bortezomib)は、ウイルス増殖、細胞内ウイルス蛋白量ともに抑制効果を認めなかったが、増殖性の誘導も見られなかった。一方、核酸合成阻害剤のmycophenolate mofetil(MMF)は、濃度依存性にウイルス抑制効果を認め高濃度(1000ug/ml)ではウイルスNタンパク質の減少も示した。

【結語】感染細胞株を用いたin vitroの検討では、MMFは抗SARS-CoV-2抑制効果を示し、臨床における免疫抑制管理に有効である可能性がある。

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