移植
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免疫抑制薬血中濃度測定の全国QCサーベイ報告 2021
増田 智先
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s147

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抄録

(一社)TDM品質管理機構は、日本TDM学会と日本移植学会の協力により2016年4月に発足し、主に免疫抑制薬(タクロリムス、シクロスポリン、ミコフェノール酸、エベロリムス)について各医療機関ならびに外注検査室における日常の測定精度管理を客観的に評価するための外部精度管理機構として活動している。毎年4月中の参加申し込みを募り、5月~6月にかけて各薬物3種類のスパイクサンプルを参加施設に送付する。各施設は日常診療で実施される血中濃度測定業務に組み入れて測定結果をWeb経由で報告し、8月に開催される研究会において集計結果の報告を受ける。各参加施設は、それぞれの採用している測定法の統計データを参照し、自施設で得られた結果との整合性を確認する。本法人の実施している、全国QC(Quality Check)サーベイは国内唯一の第三者評価機構であり、新型コロナ禍の中2021年度も昨年に引き続き70施設の参加を得てQCサーベイ事業を実施することができた。経年的に施設間誤差が縮小する傾向が見られるなど、参加施設の血中薬物濃度測定の精度管理に対する意識・技術は高いと考えられる。術後管理を円滑に行う上で、免疫抑制薬の精密な血中濃度管理は移植臓器の生着に加えて副作用発現の抑制に必須と考えられ、未だ参加実績のない施設への啓発と普及を図りたいと考える。

本企画では、2021年度の免疫抑制薬全国QCサーベイの結果を供覧しながら本事業の役割について解説する。

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