移植
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Epitope解析により免疫原の推定が可能であった生体腎移植の1例
西川 晃平橋口 裕樹金本 人美加藤 桃子東 真一郎佐々木 豪加藤 学舛井 覚吉尾 裕子井上 貴博
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s155

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抄録

LABScreen Single Antiegn®(SA)は、腎移植レシピエントの術前感作状態の評価に使用されているが、DSAのnMFIが低いにも関わらず早期よりAMRを来たす症例も存在する。今回この様な症例に対し、後方視的にEpitope解析を行った。患者は妊娠歴のある65歳女性でドナーは夫。術前FCXMはT-cell陰性、B-cell陽性で、SAではDRB1*12:02 (nMFI: 581.56)がDSAとして検出された。nMFIが低値のため特別な脱感作は不要と判断し、Rituximab 投与・血漿交換施行後に血液型不適合腎移植を施行したが、移植後2か月でCAAMRが出現した。本症例での術前・後のSAのdataを用いEpitope解析を行った結果、反応を示すアレルに96HK、37Fが広く分布しており、免疫原となっている可能性が示された(図)。このように多くのアレルで共有されるEpitopeへの抗体が存在する場合には、SAでのnMFIは過小評価される可能性があり注意を要する。Epitope解析はSAの補助として有効な可能性がある。

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