移植
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当院での生体肝移植におけるS2 mono-segment graftの治療成績
高瀬 洪生上野 豪久吉田 眞之松木 杏子東堂 まりえ岩崎 駿當山 千厳塚田 遼出口 幸一正畠 和典野村 元成渡邊 美穂神山 雅史田附 裕子奥山 宏臣
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s161

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抄録

【目的】体格の小さい乳幼児に対して、グラフト重量を減量する方法として、S2 mono-segment graft(MSG)が用いられているが、その成績については明らかになっていない。当院における治療成績を検討した。

【方法】2010年4月~2021年3月に生体肝移植を受けた小児のうち、MSGを使用した8例について、患者背景、術後合併症と長期成績を検討した。

【結果】原疾患は胆道閉鎖症が6例、劇症肝炎が2例であった。移植時月齢は中央値7.7ヶ月(範囲2.7ヶ月-12.7ヶ月)、移植時体重は中央値7.2kg(範囲4.8kg-9.0kg)であった。VolumetryによるGRWRは中央値2.5%(範囲1.7%-3.7%)、実際のグラフト重量による GRWRは中央値2.9%(範囲1.9%-3.7%)であった。ドナー手術時間は中央値415分(範囲356分-520分)で、外側区域グラフト症例より有意に長かった(p=0.01)。移植後フォロー期間は中央値38ヶ月(範囲15ヶ月-130ヶ月)であり、死亡例はなく、1例は抗体関連拒絶反応により移植後14日で再移植となった。後期合併症として門脈吻合部狭窄を2例に認め、バルーン拡張術を施行した。血清アルブミンは中央値3.9g/dl(範囲2.8g/dl -4.5g/dl)、総ビリルビンは中央値0.4g/dl(範囲0.1g/dl-0.8g/dl)、M2BPGiは中央値1.1(範囲0.2-2.56)であった。移植時と現在の身長・体重のZスコア差はそれぞれ、中央値+1.2(範囲-1.6-1.7)、中央値+0.95(範囲-1.3-3.2)であった。

【結論】体格の小さい乳幼児におけるMSGの治療成績は良好であった。

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