移植
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Covid-19と臓器移植 (ニューヨークでの多臓器移植フェローシップ中に起こったコロナ危機の経験を踏まえ)
三浦 敬史
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s18

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抄録

2018年7月より2年間、ニューヨークのモンテフィオーレメディカルセンター(MMC)で多臓器移植のフェローとして勤務している時にcovid-19の爆発的な感染拡大を経験した。WHOからpandemicの宣言があった2020年3月11日に、MMC1例目の患者が出た後、covid-19の入院患者数は、10日後に100人、その10日後には1000人を超え、手術室やいろんな会議室などもコロナ患者のI C Uへ改築された。特にニューヨークはどこよりも感染爆発が早かったため, まだ情報がなく、全ての待機手術は中止となり、移植手術は、肝臓移植のstatus1以外、約2ヶ月間中止せざるを得なかった、ドナーが出てもアメリカ内ですらニューヨークから他州へ摘出にいく事は感染を恐れた他州から拒否され、やむなくドナー病院の摘出医師へお願いせざるをえなかった。移植患者の中では特に腎移植患者が多数犠牲となった。

あれから約1年半がすぎ、いろんなことが分かり、今後の移植のあり方なども考えられる程度には落ち着いてきている。ワクチンについて、covid-19のドナーからレシピエントへの感染の可能性、レシピエントがcovid-19にかかった時の治療、covid-19に起因した臓器不全患者への移植、covid-19既感染ドナー候補、レシピエント候補がcovid-19感染疑いの場合の対応など、ニューヨークでの経験を踏まえ、今後の移植医療のcovid-19への対処の仕方や課題など自分なりに考察をしてみたい。

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