移植
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COVID-19感染流行期における本邦の臓器提供と移植医療の現状‐厚生労働科学特別研究事業による調査研究‐
伊藤 泰平剣持 敬太田 充彦蔵満 薫曽山 明彦木下 修江口 晋湯沢 賢治江川 裕人
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s19

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抄録

<目的>

COVID-19流行期における日本の脳死臓器提供の状況と、それに対する移植施設の状況をアンケートにより調査し、本邦の移植医療の現状を明らかとする。

<方法>

令和2年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(厚生労働科学特別研究事業)新型コロナウイルス感染症流行時に移植実施施設において脳死下・心停止下臓器移植医療を維持推進するための調査研究の一部としてアンケート調査を行った。アンケートはWeb形式で行い、それぞれの施設の代表者に記名式で答えてもらった。

<結果>

アンケートは206施設中177施設から回答があり、回収率は85.9% であった。2019年は脳死下臓器提供が98件、心停止後臓器提供が28件であったが、2020年の脳死臓器提供数は68件、心停止後臓器提供件数は9件と減少した。特に、第3波を迎えた2021年冬に臓器提供件数が著明に減少していた。アンケートの回答が得られた177施設中85施設(48%)で一時的に移植医療の提供を中止していた。結果、2020年は2019年と比べ、小腸移植を除く、全ての死体臓器移植件数が60‐70%程度(前年比、心:64%、肺:73%、肝:72%、膵:57%、腎:71%)に減少していた。

<結語>

本邦は諸外国と比べると、COVID-19陽性患者、死亡者ともに少ないが、移植医療が大きく影響を受けている現状が明らかとなった。

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