移植
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技術と信頼に基づいた互助制度による臓器摘出,搬送,移植の実際
剣持 敬伊藤 泰平栗原 啓會田 直弘纐纈 一枝加藤 櫻子明石 優美
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s187

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抄録

臓器提供増加により,移植医,Co.の負担も増加している.脳死・心停止下臓器移植では,レシピエント意思確認,入院,検査,術前処置,IC,JOTへの連絡,提供施設への器材搬送,摘出手術,臓器搬送,移植実施のプロセスを短期間で行うため,肉体的,精神的負担が大きい.当院の臓器提供~移植の互助制度につき報告する.

当院発生のドナーの場合,器材,消耗品,灌流液の貸出や当院外科医による臓器摘出,JOT・業者(腎)による臓器搬送,県内・近隣県発生のドナーの場合,当院器材の業者搬送(伊藤班研究)等の互助制度を実施している.また当院で移植の際,提供施設外科医による摘出,JOTによる搬送も行った.

当院でコロナ禍1.5年間に実施した3例の脳死下臓器提供に互助制度を適応,2例は腹部臓器(肝,膵,腎)摘出を当院外科医が行った.JOTの厚意で移植施設へ搬送,移植し,当院(提供施設)と移植医の負担を半減し得た.胸部臓器摘出も,器材,消耗品貸し出し,器械出しナースのサポート等で移植医の負担を軽減した.

臓器摘出,搬送を当該移植施設の移植医以外が行えば,移植医,提供施設の圧倒的な負担軽減となる.しかし,実施には,摘出医の技術の担保と信頼,搬送技術の担保と信頼が必須である.学会として技術水準維持のため摘出手技の講習,臓器搬送法の標準化を行うとともに,提供・移植施設,JOT,行政,などオールジャパンで合意・協力の上進めることが肝要である.

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