移植
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COVID-19流行下における当院の心移植患者の管理-RTCの視点から-
遠藤 奈津美布田 伸一菊池 規子服部 英敏野本 美智留石戸 美妃子市原 有起齋藤 聡新川 武史石田 英樹新浪 博
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s206

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抄録

背景と目的:2020年初頭より始まったCOVID-19感染症パンデミックの状況において、免疫抑制下にある心移植患者の管理方法を検討し、実施した結果を報告する。実施方法:①外来受診頻度・方法、定期入院の検討、②心不全・心移植カンファレンスの実施方法、③患者自身の感染が確定した場合・周囲に感染者が発生した場合の対応について、日本移植学会の基本指針をもとに移植チーム内で検討し、対応方法を決定した。結果:患者の通院間隔、定期入院を延ばすと同時にメール等で補填し、心不全・心移植カンファレンスをWEB開催に変更した。当院通院中の約70名のうち、患者家族に感染の発生事例は1例、患者家族が濃厚接触者事例は1例、患者の職場内で感染者発生の事例は1例、患児の通う学校で複数感染者を認めた事例は2例あった。家族感染例、家族が濃厚接触者となった事例では、患者のホテル隔離を即時実施し、職場や学校で感染者を認めた事例では、患者を一定期間欠勤・欠席させた。どの事例においてもメールや電話などで日々の体調や周囲状況の確認を密に行い、隔離解除、社会生活への復帰や外来受診のタイミングを決定し、移植患者の感染はなく経過した。結語:管理方法を検討・実施し、当院の心移植患者は、感染に至ることなく経過している。しかし、今後ワクチン接種の拡大や変異株の流行などにより状況は変化するため、管理方法も流動的に再検討する必要がある。

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