移植
Online ISSN : 2188-0034
Print ISSN : 0578-7947
ISSN-L : 0578-7947
尿中Exosomeおよび微小嚢胞中のmRNA測定による移植腎機能障害の診断法の開発および全国症例解析によるValidation
原田 浩辻 隆裕
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s215

詳細
抄録

【目的】移植腎障害(KGI)を非侵襲的に診断しうるバイオマーカーの探索を尿中のエクソソーム・微小嚢胞(EV)中のmRNA解析により行った。【方法】全国11施設にて計127症例の腎移植後の尿検体からEV RNAを抽出し定量RT-PCR測定を行い、腎生検を含む病理診断結果と比較しマーカー候補遺伝子並びに複数候補による診断式の診断性能を検証した。【結果】拒絶反応の鑑別では以前に報告したANXA1の上昇は確認できなかったものの、CXCL9、CXCL10、UMODがT細胞性拒絶反応(TCMR)で上昇し、慢性抗体関連拒絶反応(cABMR)ではSPNS2の上昇が確認された。Sparse Logistic Regression(SLR)解析による複数マーカー候補からなる診断式にてcABMRと他のKGI群とAUC 0.875で鑑別できることを確認した。また、臨床上判定が困難な慢性カルシニューリン毒性に比しても、SLR解析でAUC 0.886でcABMRの鑑別が可能であった。加えて、間質線維化・尿細管萎縮や慢性腎障害重症度と相関がみられるマーカー候補POTEMを確認し、SLR解析による診断式で各々AUC 0.830、0.850で鑑別できた。【結論】尿中EV RNA解析によりKGIを非侵襲的に診断できうる可能性を示した。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top